ハロプロ好きの雑記。
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JMJ
「…梓ちゃんに告白したの。付き合ってくださいって」
外の景色が橙色に染まって綺麗だった。
最終下校の時間も過ぎ、もう誰もいなくなって、先ほどまでのそれぞれの部活動の音も聞こえなくなった学校。
私の前に立つのは、中学校からの親友。
そして彼女は、罪か何かを宣告するような口ぶりで、重苦しい空気を切り裂いた。
“梓ちゃんに告白したの”
ベースを弾いた後みたいに空気が揺れた。憂の顔は真剣だった。冗談な訳も無い。憂が冗談でそんな事言う訳もない。
「…そう、どうだったの」
とりあえずは言えて本当に良かったじゃない。憂は梓の事ずっと好きだったもんね。言えて良かった、頑張ったね、憂。
私だって嬉しい。親友の恋を今までずっと応援してきたから。
「……うん。梓ちゃん、良いよって」
そう言って憂は微笑んだ。心底嬉しそうに、ふわりと笑った。
誰もいない廊下に、吐いた息の音すら響くようだった。夕暮れ色に染まった静かな校舎。憂から視線を逸らして、なかなか風情がある、なんて思いながら。
「……良かったじゃん、」
吹奏楽部のあの音も、陸上部の掛け声も聞こえてこない。本当に静かだった。カラスも遠くで鳴いている。
そして視線を戻す。憂はやっぱり微笑んでこちらを見ていた。
その目を私は見返す事が出来ずに、また視線を逸らす。
視界の隅で憂の顔が寂しそうになった。
「そんな顔しないでよ、」
発した声は震えていた。なんで憂が寂しそうにするの。寂しいのはこっちだ。
憂に梓が好きだと打ち明けられたとき、私は喜んで協力すると言った。何だかんだで頼られてるのが嬉しかったし、大事な親友を応援するのは何故かわくわくした。
憂が梓の言動に一々やきもきするのを見ていて面白かった。しっかりしているように見えていざというときに何も出来ない憂が可愛かった。頼られるのが嬉しかった。世話を焼くのが楽しかった。
その恋心を知らないが故に梓は憂を知らず知らずに傷つける事だってあった。そんな時は美味しいお菓子でも食べながら泣きそうな憂を慰めた。まるで母親にでもなった気分だった。
しかしいざ恋が叶ってしまうと寂しい。手放したくない。我が子が巣立っていく、なんて本当に母親にでもなった心地。
でも寂しい、って言うのは私のキャラじゃないし、ここは堪えておかなければ。
そう思ってたのに、なんでそっちがそんな顔をしているの。
「ほら、帰ろう」
そうして教室の扉に手をかけ、いつものようにそれを横に引いた。
「純ちゃん、」
構わず、憂の顔を見ないように歩き慣れた廊下を進んでいく。やっぱりもう誰も残っていない。早く帰ろう。
「……待って、…純ちゃん、っ…」
振り向いた。
だって、その声はいつもの憂の声ではなかったから。
犬が鳴くようだった。甘えるような、訴えるようなその声は何か、人の心を落ち着かなくさせる力があるようだった。
「置いてかないで……」
だからそれはこっちの台詞。
二人がくっついたら置いていかれる、って怖いんだってば。寂しくなるんだってば。だけどそんな事言えない。恥ずかしいから。恰好悪いから。
「…梓ちゃんと付き合ったら、純ちゃんもう私の相談とかっ…聞いてくれなくなっちゃうって思ったら……」
そこまで言って泣き始める憂。
私も貰い泣きしそうになったがぐっと堪える。
私は保護者だから、憂の良き相談相手だから、
だから私は精一杯笑って、
「これからはキューピッド純ちゃんがたくさんノロケを聞かせて貰うからね」
良いの?と泣きながら訊く憂にだって私たち親友じゃん、とおどけて言うと憂はようやく笑顔になってくれた。
…次の日から、憂はさらに私に頼ってくるようになった。
純じゃなくて私に頼ってよ、と拗ねる梓がとても見ていて面白かった。
外の景色が橙色に染まって綺麗だった。
最終下校の時間も過ぎ、もう誰もいなくなって、先ほどまでのそれぞれの部活動の音も聞こえなくなった学校。
私の前に立つのは、中学校からの親友。
そして彼女は、罪か何かを宣告するような口ぶりで、重苦しい空気を切り裂いた。
“梓ちゃんに告白したの”
ベースを弾いた後みたいに空気が揺れた。憂の顔は真剣だった。冗談な訳も無い。憂が冗談でそんな事言う訳もない。
「…そう、どうだったの」
とりあえずは言えて本当に良かったじゃない。憂は梓の事ずっと好きだったもんね。言えて良かった、頑張ったね、憂。
私だって嬉しい。親友の恋を今までずっと応援してきたから。
「……うん。梓ちゃん、良いよって」
そう言って憂は微笑んだ。心底嬉しそうに、ふわりと笑った。
誰もいない廊下に、吐いた息の音すら響くようだった。夕暮れ色に染まった静かな校舎。憂から視線を逸らして、なかなか風情がある、なんて思いながら。
「……良かったじゃん、」
吹奏楽部のあの音も、陸上部の掛け声も聞こえてこない。本当に静かだった。カラスも遠くで鳴いている。
そして視線を戻す。憂はやっぱり微笑んでこちらを見ていた。
その目を私は見返す事が出来ずに、また視線を逸らす。
視界の隅で憂の顔が寂しそうになった。
「そんな顔しないでよ、」
発した声は震えていた。なんで憂が寂しそうにするの。寂しいのはこっちだ。
憂に梓が好きだと打ち明けられたとき、私は喜んで協力すると言った。何だかんだで頼られてるのが嬉しかったし、大事な親友を応援するのは何故かわくわくした。
憂が梓の言動に一々やきもきするのを見ていて面白かった。しっかりしているように見えていざというときに何も出来ない憂が可愛かった。頼られるのが嬉しかった。世話を焼くのが楽しかった。
その恋心を知らないが故に梓は憂を知らず知らずに傷つける事だってあった。そんな時は美味しいお菓子でも食べながら泣きそうな憂を慰めた。まるで母親にでもなった気分だった。
しかしいざ恋が叶ってしまうと寂しい。手放したくない。我が子が巣立っていく、なんて本当に母親にでもなった心地。
でも寂しい、って言うのは私のキャラじゃないし、ここは堪えておかなければ。
そう思ってたのに、なんでそっちがそんな顔をしているの。
「ほら、帰ろう」
そうして教室の扉に手をかけ、いつものようにそれを横に引いた。
「純ちゃん、」
構わず、憂の顔を見ないように歩き慣れた廊下を進んでいく。やっぱりもう誰も残っていない。早く帰ろう。
「……待って、…純ちゃん、っ…」
振り向いた。
だって、その声はいつもの憂の声ではなかったから。
犬が鳴くようだった。甘えるような、訴えるようなその声は何か、人の心を落ち着かなくさせる力があるようだった。
「置いてかないで……」
だからそれはこっちの台詞。
二人がくっついたら置いていかれる、って怖いんだってば。寂しくなるんだってば。だけどそんな事言えない。恥ずかしいから。恰好悪いから。
「…梓ちゃんと付き合ったら、純ちゃんもう私の相談とかっ…聞いてくれなくなっちゃうって思ったら……」
そこまで言って泣き始める憂。
私も貰い泣きしそうになったがぐっと堪える。
私は保護者だから、憂の良き相談相手だから、
だから私は精一杯笑って、
「これからはキューピッド純ちゃんがたくさんノロケを聞かせて貰うからね」
良いの?と泣きながら訊く憂にだって私たち親友じゃん、とおどけて言うと憂はようやく笑顔になってくれた。
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