ハロプロ好きの雑記。
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シューマン「子供の情景」より「トロイメライ」。
いろいろ思い出の曲だったりします。
なんとなく律澪で。
いろいろ思い出の曲だったりします。
なんとなく律澪で。
最近肌寒い日が続いているのに、珍しく今日はぽかぽかしていて、窓から差し込む光がとても暖かい。
その雰囲気には、夢心地、とかそういうような言葉がよく似合った。
そして、夢のようで夢ではないところが、今の私以上に幸せな人は誰一人居ないんじゃないかと思わせた。
まだ私たちは行為の余韻に浸っていた。
澪と朝からもつれ合って、もう昼過ぎになっていた。
もうすっかり満たされて、他にする事もしたい事も見つからずに私たちは日溜まりの下、二人でただベッドの上で、何も纏わない姿で猫のようにタオルケットにくるまっていた。
「あったかいな」
「…うん」
こうしてくつろいでいると、本当に猫になった気分だ。猫という単語で梓の顔が思い浮かんだけど、悪いけど今は梓はお呼びじゃないんだ。澪とふたりっきりがいい。
……ずっとこうしていたい、なんて。
そして好きなときにまた、澪ともつれ合えれば私にとってそれはとても幸せに違いない。
そんな事を考えていると、澪の手が私の手を探してシーツを動き回っているのを視界の隅に捉えたので、私はその手を黙って掴んだ。
すると安心したかのように澪の手は大人しくなって、それからやっと見つけた私の指に、おずおずと自身の指を絡ませた。
指を通して澪の温もりを感じられた事が嬉しかったので、少し顔を横に向けて澪の方を見れば、澪は幸福そうな微笑みを称えていて。
それは、……本当に可憐だった。
きっと見た人全てが心を奪われると言い切れるような、そんな微笑み。
もっと見ていたい、かも。
そう思った私は体ごと澪の方に向けた。
「どうしたんだ?」
澪はくすりと笑うと、絡めた指を小さく弄った。
「なんでもないよ」
澪がにこにこしているから、私も思わずつられて頬が緩んでしまう。
そんな私を澪は優しい表情で見つめていた。
目線が合うとふわりと笑いかけられ、私は顔が紅くなるのを感じたけれど目を逸らす訳にもいかないので、苦し紛れに言葉を紡いだ。
「…な、なんだよ…………?」
言葉、というよりは詞と言った方が妥当だったかも知れなかったが。
「私は律が好きなんだなぁ、と思った」
夢見るような瞳でそんなことを言った澪はやっぱり可愛くて、愛しさが募って。
この溢れそうな位の熱い想いを恥ずかしいけど少しでも伝えてあげたくなって、私はこんな事を言ってみた。
「私は澪嫌いだけどなー」
「……………な、」
澪の表情がぴしっ、と凍ったところを見れば、とりあえずは第一段階が成功したことが良く分かった。
後はそれを訂正すれば良い。私はひゅう、と息を大きく吸ってから、澪に言った。
「なんてな。大嘘だ」
つまりそれは、嫌いというのは大ウソで、本当は真反対ということ。
澪は一瞬呆けていたけれど、それから優しい微笑みに戻って、小さく呟いた。
「…………ばかりつ」
私たちは笑い合った。
澪の頬を撫でると、澪は気持ち良さそうに目を細めた。
「もう、律はいつもそうやってごまかすんだ………」
「ん、ごめんな。…えと、私も澪が大好きだぜ」
自然に口から出たその親密な言葉を、澪は自然に受け取れなかったらしい。
「……え、………ゎ……」
耐性がない澪。さらに不意討ち。
「………どうした?」
「……り、律。ふざけるな………」
「はは、ふざけてなんかねーよ」
優しい光がそんな私たちを祝福するように照らしている。
私は、まるでこの世に二人しか居なくなったような、静かなこの時間が好きだ。
ふわふわとした、夢想した中にいるような、そんな感覚。
いつかの私は、今の私と澪を夢想していた。
―――――トロイメライ。
今はもう現実になったから、必要の無くなってしまった、色褪せた過去のトロイメライを思い出した。
夢見ていた。
澪といつかこうなるんだって、ずっと夢想していた。
いつもいつも、気が付けばトロイメライを奏でていた。
それはきっと、片想いの焦れったくて甘酸っぱい旋律で。
急に速くなったり、恋焦がれたり、思い悩んで悲観的になったり、不安定な曲。
夕焼け空のようなオレンジ色のハーモニーと言った所なんだろう。
そんなトロイメライ。
「………ねぇ、律」
「…………んー?」
澪は絡めた指を離すと、微笑んだまま私の唇をその細い人差し指でなぞった。
「キス、していい?」
「いいけど、別に確認なんか取らなくても良いぞ?」
「じゃあ、………」
瞳を閉じると、暫くしてそっと温かい感触が唇に触れた。
「律、目を開けて」
「………お、おう」
言われるままに閉じたばかりの目を開けると、目の前には澪の顔があって。
思わず抱き締めて、澪のその密やかな項(うなじ)にそっと唇を寄せた。
澪は気持ち良いのか、そっと声を漏らしてその体を震わせていた。
「律、好き………」
澪が甘えるような声でそっと言った。
「私も好きだ。澪」
そんなやり取りを交わしていると、もう一回したい、なんて思った。
そしてその考えははっきり顔に出ていたみたいで。
「お、おい。もう一回したそうな顔してるぞ…」
澪に図星な事を言われて、少し動じてしまったけれど、しかし素直に本当の事を言うことが自然に出来た。
「………ああ、澪可愛いなって思ったらな。もう一回」
「……馬鹿」
澪は満更でもない、いや、寧ろ嬉しそうだった。
だから私は、もう一度きゅっと抱き締めてから、今度は澪の頬に口づけた。
「く、くすぐったいぞ…」
「おい、動くなよ」
「…ご、ごめん」
「…………いや、別にいいけどさ」
「大人しくしてるから、……律…」
トロイメライの中に、私は澪を連れていく。きっと今度の旋律は、甘美で、愛に満ちている。…ゆったりとして、時には情熱的になって、そんなテンポで曲は進んでいくんだろう。
クラシックなんか柄じゃないけど、私たちが今から奏で上げる素敵なこの曲を、偉大な音楽家に捧げよう。
「……っ………りつ、りつ……」
「…………澪」
甘美な旋律に重なるハーモニーは、掠れた声と、濡れた瞳に白い喉と切なげに開いた唇。睦み言にベッドの軋む音。
――――そんな、私たちだけのトロイメライ。
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